自律神経失調症|五反田ストレスケアクリニック|五反田駅徒歩7分の心療内科・精神科

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自律神経失調症

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自律神経機能障害とは

頬に手をあて顔をしかめる女性

自律神経機能障害(ディスオートノミア)は、私たちの体の自動的な機能を制御する自律神経系が正常に機能しなくなる状態です。自律神経系は心拍数、血圧、体温調節、消化、発汗、瞳孔の拡張・収縮など、意識せずに行われている体の重要な機能を調整しています。この自律神経系が損傷を受けると、自律神経機能障害が発生します。この状態は自律神経症や自律神経失調症とも呼ばれ、軽度から生命を脅かすものまで様々です。

自律神経系は交感神経系と副交感神経系の2つの主要なシステムから構成されています。交感神経系は「戦うか逃げるか」の反応を制御し、ストレス時に活性化します。一方、副交感神経系は「休息と消化」の状態を促進し、リラックスしているときに優位になります。自律神経機能障害では、これらのシステムのバランスが崩れることで、様々な症状が現れます。

種類と原因

自律神経機能障害は、主に以下のタイプに分けられます。

内因性自律神経機能障害

内因性自律神経機能障害は、自律神経に直接影響を与える疾患から生じます。最も注目すべき状態の一つは純粋自律神経不全(PAF)で、起立性低血圧(立ったときに血圧が著しく低下すること)を特徴とする稀な神経変性疾患です。

外因性自律神経機能障害

外因性自律神経機能障害は、自律神経機能に影響を与える外部要因や基礎疾患により発生します。例えば、起立性頻脈症候群(POTS)は、人が直立位に移行したときの心拍数の異常な増加を特徴とし、しばしば起立性不耐症の症状を伴います。

主要な原因

自律神経機能障害の原因は多岐にわたり、以下のようなものがあります。

  • 医学的状態
    糖尿病、自己免疫疾患、パーキンソン病などの神経学的障害
  • 薬物や治療
    化学療法、放射線治療、特定の薬物
  • 遺伝的要因
    特定の遺伝性疾患
  • 加齢関連因子
    加齢に伴う神経変性
  • 精神的要因
    慢性的なストレス、不安障害、うつ病など

特に注目すべきは、統合失調症などの精神疾患との関連です。研究によれば、自律神経機能障害(交感神経活動の増加と副交感神経活動の低下の形で)が統合失調症とその治療に関与している可能性が示唆されています。

症状

自律神経機能障害の症状は、影響を受ける体系によって大きく異なります。
主な症状には以下のようなものがあります。

心血管系の症状

  • 起立性低血圧(立ち上がったときのめまいや失神)
  • 頻脈(心拍数の増加)または徐脈(心拍数の低下)
  • 血圧の変動
  • 胸痛や不快感

消化器系の症状

  • 悪心や嘔吐
  • 食後の膨満感
  • 便秘や下痢
  • 胃の不調(胃もたれ、消化不良)

泌尿器系の症状

  • 頻尿
  • 尿失禁
  • 排尿困難

発汗・体温調節の症状

  • 発汗異常(多汗症または無汗症)
  • 体温調節障害
  • 皮膚の乾燥

起立不耐性の症状

  • 立ちくらみ
  • 疲労感
  • 直立時の症状悪化
  • 失神エピソード

精神・神経系の症状

  • 「脳霧」(思考の混乱)
  • 集中力の低下
  • 記憶障害
  • 不安やうつ状態の悪化

自律神経機能障害と精神的健康の関連性

自律神経機能障害は精神的健康に大きな影響を与えることがあります。研究によれば、自律神経系の乱れは不安障害、うつ病、統合失調症などの精神疾患と関連していることが示されています。これは双方向の関係であり、精神的ストレスが自律神経機能障害を悪化させることもあれば、自律神経の不調が精神的健康問題を引き起こすこともあります。

自律神経機能障害を抱える方々は、以下のような精神的な課題を経験することがあります。

  1. 不安とストレス
    症状の予測不可能さや日常生活への影響により増加
  2. うつ症状
    慢性的な体調不良や生活の質の低下に関連
  3. 社会的孤立
    症状による活動制限や他者の理解不足により発生
  4. 自己肯定感の低下
    継続的な健康問題による自信の喪失

診断

自律神経機能障害の診断には、包括的な評価が必要です。主な診断手順には以下のものがあります。

検査方法

自律神経機能障害を正確に診断するために、様々な検査が一般的に使用されています。主な検査方法としては、

自律神経反射スクリーン(ARS)

発汗出力、皮膚温度、心拍数、血圧に関連する自律神経反射を測定する非侵襲的な検査

ティルトテーブル検査

患者の姿勢を横臥位から直立位に変えながら、脈拍と血圧をモニタリングして起立不耐性を評価する検査

発汗反応検査

電気化学的皮膚伝導度(ESC)、定量的発汗神経軸索反射検査(QSART)、体温調節発汗検査など、自律神経系によって制御される汗腺の機能を評価する検査

その他、歩行時血圧・心電図モニタリング、冷圧試験、深呼吸検査、過換気検査なども補助的な検査として行われることがあります。

診断の課題

自律神経機能障害の診断には、いくつかの課題があります。

  • 自律神経機能障害の決定的な診断基準がないため、診断の正確性の評価が複雑になる
  • 自律神経系の多くの要素は検査でアクセスできないため、直接的な自律神経系機能の評価が困難
  • 検査機器や方法の違いにより、異なる検査施設間で一貫性のない結果が生じる可能性がある

治療

自律神経機能障害の治療には、症状の管理と生活の質の向上を目指した総合的なアプローチが必要です。治療法は症状や原因によって異なりますが、主に以下の方法があります。

非薬物療法

自律神経機能障害の非薬物療法には以下のようなものがあります。

  1. 生活習慣の改善
    水分と塩分摂取量の増加、血液量を増やし、低血圧や足への血液貯留の症状を軽減するのに役立つ方法
  2. 圧迫衣類
    ストッキングや腹部バインダーなどの圧迫衣類を着用することで、四肢への血液貯留を防ぐのに役立つ
  3. 運動
    自律神経機能障害の管理には定期的な身体活動が重要だが、運動不耐性などの課題がある場合がある。理学療法士の助けを借りて、座位や臥位から始める適切な運動計画を立てることが推奨される
  4. 食事調整
    小さな食事を頻繁に摂ることで、大きな高炭水化物食後に血液量が減少して症状が悪化するのを緩和できる
  5. 冷却技術
    体温調節の問題を抱える患者に対して、冷却スカーフ、枕、ベストなどが過熱時に緩和をもたらす
  6. 姿勢
    休息時に足を上げることで血液の貯留を減らし、心臓への血液循環を改善する可能性がある

薬物療法

症状や原因に応じて、以下のような薬剤が処方されることがあります。

  • 血圧調整薬
  • 消化器症状を管理する薬
  • 泌尿器系の問題に対する薬
  • 痛みや神経症状を緩和する薬

精神的サポート

自律神経機能障害を持つ患者にとって、精神的サポートは重要な治療要素です。症状の記録や感情の整理のためのジャーナリングが有効なツールとなることがあります。メンタルヘルスの専門家によるカウンセリングも、症状管理と生活の質向上に役立つことがあります。

日常生活での対処法

自律神経機能障害を持つ方々が日常生活を送る上で役立つヒントをいくつか紹介します。

日常的なセルフケア

  1. 規則正しい生活リズム
    睡眠、食事、活動の時間を一定に保つ
  2. ストレス管理
    マインドフルネス、深呼吸、瞑想などのリラクゼーション技術を取り入れる
  3. 適切な水分と塩分摂取
    医師の指導のもと、適切な水分と塩分を摂取する
  4. 温度管理
    極端な温度変化を避け、必要に応じて冷却グッズを使用する
  5. 活動のペース配分
    エネルギーを温存するため、活動と休息のバランスを取る

周囲の人々とのコミュニケーション

  • 症状や制限について家族、友人、同僚に伝える
  • 必要なサポートを具体的に依頼する
  • 自分の状態について他者に教育する資料を用意する

専門医への相談

自律神経機能障害の症状がある場合は、以下の専門医に相談することをお勧めします。

  • 神経内科医
  • 心療内科・精神科医(特に精神症状が強い場合)

まとめ

自律神経機能障害は、体のさまざまなシステムに影響を与え、日常生活に大きな課題をもたらす可能性のある複雑な状態です。症状は人によって大きく異なり、診断が難しい場合もありますが、適切な医療専門家のサポートを受けることで、症状の管理と生活の質の向上が可能です。

自律神経機能障害と精神的健康には強い関連性があり、総合的なアプローチが重要です。心身の健康を包括的に考えることで、より効果的な管理と治療が可能になります。

自律神経機能障害の症状でお悩みの方は、お気軽に当院にご相談ください。専門的な知識と経験を活かし、あなたの健康と生活の質の向上をサポートいたします。

参考文献

  1. Healthline. (2019). Autonomic Dysfunction: Symptoms, Types, and Treatments.
  2. Cleveland Clinic. (2023). Dysautonomia: What It Is, Symptoms, Types & Treatment.
  3. Nature. (2021). Autonomic nervous system dysfunction in schizophrenia: impact on cognitive and metabolic health.
  4. The Dysautonomia Project. (2023). Dysautonomia: Causes, Symptoms and Treatments.
  5. Stanford Health Care. (2024). Autonomic Dysfunction (Autonomic Failure).

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