2026年3月16日

産業医面談の前に心療内科へ行っていい?受診前に整理したいこと
受診前に整理したいこと
- 産業医面談の前でも、心療内科・精神科への受診は問題ない(むしろ推奨されることが多い)
- 産業医と主治医は役割が異なり、それぞれに話す内容が変わってくる
- 面談前に「症状・職場状況・自分の希望」を整理しておくと、両方の面談がスムーズになる
「来月、会社から産業医面談をするよう言われているが、その前に心療内科へ行ってもいいのか」——こう迷う方は、実は多くいます。「先に病院へ行くと、産業医に何か言われるのでは」と不安になる気持ちもよくわかります。
結論から言えば、産業医面談の前後を問わず、心療内科・精神科を受診することは問題ありません。この記事では、産業医と主治医それぞれの役割と、受診前に整理しておくべきことを解説します。
産業医の仕事は「就業可否の意見を会社に伝えること」です。そのためには本人の医学的な状態の把握が必要であり、主治医の診断がある方が産業医面談の質も上がります。主治医に相談した上で産業医面談に臨む方が、話し合いが具体的になりやすいのです。
厚生労働省の「職場復帰支援の手引き」でも、主治医・産業医・事業者・労働者が連携して就業支援を行うことが推奨されており、主治医の存在は産業医面談の前提として位置づけられています。
産業医は診断や処方を行いません。「しんどい気がする」という段階であれば、産業医面談より先に心療内科・精神科を受診して、医師に症状を診てもらう方が、結果的に適切な支援につながりやすくなります。
図:産業医は「会社側」、主治医は「患者側」という役割の違いを整理したもの
産業医は「会社側の立場」で動き、主治医は「患者(あなた)の立場」で動きます。この違いを理解しておくと、それぞれの面談で何を話すべきかが整理されます。
休職は「立ち止まる」ことではありません。自分の人生を立て直すための、主体的な選択です。
当院では診断書の即日発行に対応。復職までの道筋を、一緒に考えます。
心療内科の初診は、問診票の記入を含めて1〜1.5時間程度であることが多いです。医師に状況を正確に伝えるために、以下を受診前にメモしておくと診察がスムーズになります。
図:受診前に準備しておく3つの項目。思いつく範囲でメモしておくだけで十分です。
- いつ頃から症状が始まったか
- 主な症状は何か(不眠・食欲低下・気力の低下・涙もろさ・不安感・身体症状など)
- 休日と平日・仕事の日で症状に違いがあるか
- 日常生活(食事・睡眠・入浴など)がどの程度できているか
- 業務量・残業時間の変化(特に不調が始まる前後)
- 人間関係で気になっていること
- 異動・役職変更・担当業務の変化などの出来事
- 今、仕事にどのくらい行けているか(欠勤・遅刻の状況)
- 仕事を続けながら治療したいのか、休職を検討したいのか
- 会社にどこまで状態を知らせたいか
- 薬の使用についてどう考えているか(抵抗感がある場合はその旨を伝えてよい)
これらを事前に整理しておくことで、医師も状況を把握しやすくなり、治療方針の話し合いが具体的になります。完璧に揃える必要はなく、思いつく範囲で構いません。
図:心療内科受診 → 産業医面談 → 就業調整 → 職場復帰 の流れのイメージ
産業医面談は、主治医の受診とは別の場で行われます。産業医から聞かれることが多いのは、業務の遂行状況・睡眠や生活リズム・休職・復職の意向などです。
主治医に診てもらっている場合は、「主治医の診断名」や「治療の方向性」を産業医に伝えることで、会社との就業調整がより具体的になります。ただし、話したくない内容を無理に共有する必要はありません。何を伝えるかは、主治医と相談しながら決めることができます。
産業医面談の内容は、全てが会社(人事・上司)に共有されるわけではありません。ただし、就業可否に関わる情報は会社側に伝わることがあります。面談前に産業医に「何が共有されるか」を確認しておくと安心です。
産業医面談の前に心療内科・精神科を受診することは、むしろ自然な流れであり、面談の質を高めることにもつながります。受診前には「症状・職場状況・自分の希望」を整理しておくと、主治医への説明もスムーズです。産業医面談と主治医の診察、それぞれの役割を理解した上で、自分にとって必要なサポートを受けていただければと思います。
知識を得ることは、最初の一歩です。次のステップとして、あなたに合った方法を一緒に考えてみませんか。
休職は「立ち止まる」ことではありません。自分の人生を立て直すための、主体的な選択です。
当院では診断書の即日発行に対応。復職までの道筋を、一緒に考えます。
精神保健指定医
日本医師会認定産業医
産業保健法務主任者(メンタルヘルス法務主任者)
健康経営アドバイザー
大学病院から民間病院まで幅広い臨床経験を持つ。「薬を出して終わり」ではなく、患者が自分の力で歩き出せる状態を目指す「伴走型」の診療を実践。産業医として企業の健康管理にも携わり、働く人のメンタルヘルスを臨床と産業の両面から支えている。
- 厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(2023年改訂版)
- 労働安全衛生法 第13条(産業医の職務)
- 日本精神神経学会「精神科・心療内科受診に関するガイドライン」